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総勢731人、171チームによる「新しい授業」の提案内容の振り返りと総括

今年度、大瀬中学校、光明中学校、上中学校の2年生、生駒中学校1年生、総勢731人・171チームにキャリア教育の取組として
「未来を生き抜く力を養うための新しい授業を提案せよ(※100万円で)」というプロジェクトを実施しました。
※授業数の関係で上中学校は予算の設定を行っていません。

4人1チームになり、今の学校や授業に対して「問いを立て」「アイデアを出し」「企画に落とし」「プレゼンテーションを行い」「社会人からフィードバック」をもらう実践型の取組です。

※授業の詳細は以下のブログから

今回は全171個の提案内容と授業を振り返ります。

【提案に多かった8つのキーワード】

171個の提案内容の中で多かったテーマや解決策のキーワードを8つピックアップします。

①AI

「発想力」「心」「自分の主張」など人間にしかできないことを考えた授業提案

②防災

「サバイバル」「生き抜く」「突然の状況に対応できる」など防災の力を養う授業提案

③お金・稼ぐ・投資

将来のお金に対する不安から「投資」「節約術」「株」などで稼ぐ方法を学ぶ授業提案

④世界との繋がり

英語のみならず、様々な言語、文化に触れる機会やジェンダー、環境問題など多様な課題に対して意見交換をするような授業提案

⑤自己選択

教科コース、時間の使い方、学ぶ場所などを自ら選ぶスタイルの授業提案

⑥専門家

宇宙、お金、サバイバル、恋愛、AIなど専門家などに話を聞いたり、1年間のプロジェクトに関わってもらう授業提案

⑦生徒同士で教え合う

先生や大人に教わるだけでなく、学級や学年を超えてお互いに教え合うスタイルの授業提案

⑧体験・実践

「校外学習」「実際にモノを作って売る」「自分たちで企画して実施する」など体験や実践を行う授業提案

【その他のキーワード】
サバイバル、不登校、食糧難、戦争、飛び級、新商品開発、屋台で実践、海外、日本文化の継承、農業、運動不足の解消、選択学習、自由学習、ジェンダーレス、無人島、恋愛、少子化対策、メンタルトレーニング、デジタル教科書、大人も一緒に学ぶ、仮眠室、朝ごはん、昆虫食、制服、1人暮らし体験、VRの活用、医療、人命救助、プログラミング、エンジニアリング、自炊(料理)、人の心を動かす、コミュニケーション能力、人間関係、建物、交通マナー、昼寝の導入、新しいスポーツ、SDGs、リサイクル、受験対策、子育てを知る、生態系、礼儀、火星に住む、校則等。

提案から一部キーワードを抜粋

【授業の終了後に多かった感想】

①社会人からの本気のフィードバック

「自分の班は、人間関係についての話題でしたが、それに対し審査員がいろいろな疑問や質問をしてくれて、あのあと、班でも反省会をしました。もし、次があるならば、審査員がびっくりするようなプレゼンを作って、質問もできないような話題にするので、また会える日があれば、お待ちしています!」

「厳しい意見や感想を下さりありがとうございます。これから努力して、次こそは優秀作品にえらばれます!!」

「優勝はしたけど、やっぱり内容が浅いところを直して再挑戦してもっと良い評価をもらいたいと思いました。自分たちに足りないところを指摘していただいて、そのうえで良い評価をして下さりありがとうございました。」

「結構質問も難しくて、全部一応答えたけど、質問を聞いている上でこういった考えもあるんだなと思いました。」

「いいところも悪いところも正直に言ってくれて、どうしたらいいか考えられるようになりました。」

「ズバズバと切り込むような質問があって、視点を変えて完璧かどうかを事前に考えておく必要があるということに気づきました。それを忘れずに、今後もそういう機会があればしっかりと取り組んでいきたいと思います。」

「嫌われたくないはずなのに、私たちのために企画提案に対しての質問をたくさんしてくださりありがとうございました。 (全く嫌いにはなっていないし、むしろ感謝してます。) これからもお互いに失敗を恐れずに、色々なことに立ち向かっていけるよう頑張りましょう!」

終了後のアンケートより

②失敗や負けを経験する価値

「社会に出ても、全てが上手くいくわけじゃなくて百のうち九十九回失敗することもあるけど何回でもやり直せるという言葉が印象に残りました。」

「負けて悔しいじゃなくてなぜ負けたのか考える」

「発表に意見しているだけであなた達の考えや心を否定しているわけではないため、言われたことを意識して頑張っていってほしいと審査員さんに言われた言葉が印象に残っている。」

「失敗という階段がある。最後には成功がある。」

「今回のプレゼンで上手くできなかった失敗は、そこで終わりではなく、次にそれを活かしてより良くできるようにすること。」

「このプレゼンでは、もっと頑張れたという後悔でいっぱいです。 チームで取り組んできましたが、私以外の子の意見が、ほとんどで、本当に悔しかったです。 でも、もっとその意見に素直になれたら、、、と思い次に繋げるチャンスになったと思います」

「こういう授業は、滅多に無いし、貴重な体験だなと感じました。 皆と協力して、自分で授業を考えて、発表するということは初めてだったので、心配でした。 失敗したり、トラブルがあったり、優勝出来なくて悔しいけれど、この経験を他のことに繋げれるように頑張ろうと思いました。」

終了後のアンケートより

【キャリア教育プランナーの振り返り】

全学校の事前授業を担当し、全ての提案書、全てのプレゼンを見ました。

今の中学1年生、2年生はコロナ禍に小学校高学年を過ごした年代です。
小学校時代に学校を引っ張る存在として、人前で発表をしたり、みんなで協働して企画を考えたり、班で議論する時間や機会を積み重ねること機会が非常に少なかったということです。
故に、チームで議論し、企画し、プレゼンし、社会人からフィードバックをもらうという今回の体験は初めてのことばかりで難しかった部分もあると思います。

それでも全チームプレゼンを完成させ、前向きに取り組んでくれ、自分自身の成長の機会としてくれたことに感動しています。
私自身も今後のキャリア教育の方向性のヒントをたくさんもらいました。

■知らないから恐れている。
「AI」や「お金」に対して、漠然とした不安や危機感を持っていると感じました。正しく怖がり、正しく活用するために、まずは基礎知識をインプットする必要があります。専門家を招いて「AI」や「お金」に対してしっかり考える機会を作っていきたいと思います。

■知らないのに判断している。
「将来使う授業」と「将来使わない授業」を分けて考える生徒が多かったです。まだ社会に出ておらず、自分がどんな仕事に就くかわからない段階で「使う」「使わない」と判断するのは非常にもったいないことです。学んだ知識を活かすかどうかは自分次第であることに気づけるような社会と接続したプロジェクトを作っていきたいと思います。

今回、社会人審査員が約30人協力をしてくださいました。
社会人審査員には「少し厳しくても、彼らの未来に期待をして本気でフィードバックをしてほしい。」と事前レクチャーで伝えました。
この取組の一番大切な部分は結果ではなく、フィードバックです。
結果だけでは、伸び代も努力の方向もわかりません。
フィードバックがあって初めて「足りないこと」が分かり、それを満たすために勉強や体験が必要だと気が付くことができます。
しかも「本気のフィードバック」でなければ中学生には伝わりません。

審査員の皆さんは厳しくも温かいフィードバックを本気で行ってくれました。生徒の感想を読んでも、それがしっかりと伝わっていることが分かります。本当に感謝しかありません。ありがとうございました。

生徒も審査員も本気で取り組んだプロジェクトですので、全ての提案をしっかり受け止め、今後のキャリア教育のプロジェクトに活かしていきます。