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図書室×キャリア教育「さっきとは違う展」を開催!

大瀬中学校の図書室とキャリア教育がコラボした企画展

「さっきとは違う展」

~新しい情報や知識、価値観を知ると、同じものを見ても、さっきとは見え方が変わってくる~

企画展のポスター

<企画展の目的>

図書室としては長期スパンで生徒の来室数、貸出数を増やすこと、キャリア教育としては日常から生徒が多様な生き方や考えに触れる機会をつくり、知識や視野を広げる楽しさを伝えることを目的とする。計画的偶発性理論(キャリアのターニングポイントの8割は本人の予想しない偶然の出来事によるというキャリア理論)に基づき、図書室で本との偶然の出会いを引き起こす

<概要>

図書室を「社会」、本を「人」と見立て、偶然に出会った知識や情報、価値観によってさっきまでの自分の見え方と少し変わって見える体験を用意。

<期間>

前半:9月1日(金)~15日(金)
後半:9月19日(火)~29日(金)

<展示内容>

各作品のキャプションボードにはタイトルと楽しみ方だけでなく、
展示からどんなことを考えてもらいたいかをキャリアメッセージとして記載。

【分類を変えるシリーズ】

いつもとは違う分類によって偶然の出会いを引き起こす。また、生徒も「この本はこの分類に当てはまるのでは?!」と思ったものを本棚に追加していくことで参画感を醸成し、「さっきとは違う本」が並んでいる状態にする。

■終わらせ方
新海誠監督の作品、「すずめの戸締り」をイメージしたカーテンの後ろに、終わらせ方が面白い作品を展示。

うしろどを開けると。。。
終わり方が面白い本が並んでいる。

■水色
色で本を楽しむ。空、海、青春、季節、涙、様々な角度から水色に分類できる本を集めて、展示。

水色のシートと水色のサンドアートで本棚を演出


■擬音
擬音が面白い本を展示。(後半展示予定)

【知識で問題解決シリーズ】

新しい情報や知識を得ることによって、見えてくるものが変わる体験。「さっき(知らなかった時)とは違う」を感じてもらう。

■逆時計
科学の本棚近くに設置。周辺の本から情報を集め、逆時計を正常に見るために、どうすれば良いかを考える。

逆に動く時計の謎を解く

■社会の糸
自分にも起こりうる人生のハプニングに対して、どうすれば解決できるかを考えながら、糸をたどって解決本を見つける。

「もし、ケガで働けなくなったら?」「もし、家族に暴力を振るわれたら?」など、
今知ってほしい社会保障の本にたどり着く展示。

視覚からの解放(後半展示予定)
点字を読み解き、隠されたメッセージを見つける

【アウトプットシリーズ】

実際にアイデアや回答をアウトプットすることで「今の自分に足りない情報や知識」に気づき、新しい本を手に取る機会とする。生徒たちの回答が増えることで「さっきとは違う(違う回答がある)」状況をつくる。

■一本ぐらんぷり
ホワイトボードに書かれた木を見て、お題に答えていく。

美術部の子が協力してくれて、ホワイトボードに大きな木を描く
木に関するお題をつくり、回答を生徒たちが貼り付けていく。大喜利のアイディアを考えるためのおすすめの本を展示。

■悪役
絵本の悪役がなぜ、悪い行動をとったのかを想像し、付箋に書きこむ。物語に書かれていない「背景」「理由」を考え、多様な観点で本を読むことの面白さを体感。

自分の回答をマジックペンで付箋に記載。
ブラックライトを当てないと付箋に書きこんだ文字が見えない仕掛け。
人や出来事の「背景」は見ようとしないと見えてこないことを伝える展示。

【カードで気づくシリーズ】
カードを使って、さっきとは違う状況を表現する展示。運や組合せによって見え方が変わることを体験する。

■みえかた
本のタイトルを30個選び、カードに記載。目の前にある作品と合うタイトルを自分で選んで添える。

学校の校舎から取ってきた、石と木と葉をアート的に飾り、タイトルを選ぶ。
次に来ると、作品もタイトルも変わっている。
タイトルに興味を持ち、本を探すようになる仕掛け

■運命の本
くじ引きで、今日のあなたの運命の本を決める(後半展示作品)。

<企画展開催のキッカケ>

去年度、学校司書さんと一緒に近畿大学附属小学校に視察ツアーに行きました。

「タブレット時代の図書室の価値とは?」「中学校では、休み時間が短く、生徒が本を読む時間がない。どんな工夫ができるか?」「図書室が入りにくい場所にあるから、図書室を飛び出て、目立つ場所に興味を引く掲示をしよう!」など学校図書室の可能性について視察後に話し合いました。
その場で学校司書が読書推進のために行っている工夫、児童生徒に対して持っている熱い想いを知り、キャリア教育の一端を担う私に何かできることはないだろうか、とずっと考えていました。

図書室は多様な価値観に出会える場所であり、偶然の出会いを引き起こせる空間であり、ゆっくり自分と向き合える時間を過ごすことができます。図書室は「静かで小さな社会」だと言えます。であるならば、その中でキャリア教育を行うことは合致するのではないか?と思いました。

POPでキャリアに関する本を紹介するだけなく、本を通してキャリア教育で伝えたいメッセージを体験してもらうべく、今回の企画を考えました。
学校司書を始め、司書教諭、校長先生、教頭先生、教育指導課の司書担当、教育政策室の仲間、みんながこの新しい試みに賛同してくださり、何度も相談を重ね、調整し、準備を進め、開催に至ることができました。

<生徒の反応>

企画展初日は100人が企画展を体験しに図書室に集まったとのこと。図書室の外にあるホワイトボードには大喜利の展示もあり、廊下を通るたびに「えーどのお題で考えよう」「やってみよ!」「美術部すごない?」など生徒の興味をジワジワと引き付けることができているようです。
1か月後、この企画展を通して、生徒たちにどんな変化があったのかもアンケートを実施する予定です。

今後も、各学校の希望に合わせて図書室×キャリア教育の取組を進めていきます!

             <書き手 キャリア教育プランナー 尾崎>