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2024年度、生駒市学校司書ツアーレポート!(SDGs研修&大東市訪問)

2025年1月17日、生駒市の小中学校の学校司書14名で研修&視察ツアーを行いました。

この活動は、これからの時代の新しい学校図書館のあり方を考える施策として2022年から行っています。

非常に学びの多かった1日をレポートします。

午前中の研修のテーマは「SDGs」

生駒市に工場を持ち、対馬市の海洋ゴミをリサイクルした商品をつくっている(株)リングスターによる講演、プラスチックやリサイクルに関する紙芝居の紹介を聞いた後、海洋ゴミの実物を見て触れることで、学びを深めました。

(株)リングスターの環境配慮商品の説明を取締役の唐金さんより。
対馬市に流れ着いた海洋ゴミが(株)リングスターの商品になるまでの紙芝居を同社マーケティング課の潮田さんより。
実際に対馬の海に流れ着いたゴミの数々。

その後、同社の社員の方に入っていただき、学校司書がおススメのSDGs本をグループで共有し合いました。

各司書からおススメのSDGs本の紹介

【感想(一部抜粋)】

■リングスターさんの講義は初めて知ることばかりでしたし、環境についてあらためて考えるきっかけを頂きました。紙芝居、ぜひ当小学校でもさせて頂きたいです。友人や周りの人にも話をして広げていきます。

■プラスティックを使っている立場のメーカーさんのおはなしを聞くのは
初めてだったので、とても興味深くうかがいました。簡単にプラスティックを減らすということが、いかに難しくて深い問題か、そして、企業として利益を出しながら廃プラスチックと戦っておられる姿勢は素晴らしく、ぜひ出前授業を先生方にすすめようと思います。SDGs関係の図書は、あまりにたくさん出ていますし、中身を吟味してから購入するのがむずかしいので、今回の持ち寄りはとても参考になりました。

■100年後の未来に向けて今、行動を起こしている人がいらっしゃると知り、とても明るい気持ちになりました。日々学校の図書館で、中学生に向けてどんな本を読んでもらいたいか、中学生はどんな本なら興味を持ってくれるのか、一人パソコンに向かい調べる時間が多い中、自分の無力さや至らなさを感じていますが、リングスターさんの活動を知り、自分ができることを前向きにやっていこうという力をいただきました。また、みなさんと話をすることで、日々の疑問や、知らなかった本を教えていただき、参考になりました。

■リングスターさんのお話はとても興味深かったです。プラスチックの問題はいろいろなニュースや書籍を読んで知ってはいましたが、「使わない」という考えだけでなく、「責任をもって賢く使う」という観点が新しく、とてもタメになるお話でした。これからも、色々な角度から物事を見て考えるように心がけたいと思いました。

■唐金さんの自社の製品への誇りと自信を感じました。製品へのお客様からの信頼に応えつつ、海洋プラスチックのリサイクルの取組をされてるのがすごい!と思います。開発までに、きっと何度も含有率を変えながら成形し、強度や劣化の度合いを試作されたのでしょう。それは良品質なモノづくりとは真反対なので、さぞご苦労があった事と思います。素晴らしい!遠い対馬の海洋プラスチックが海なし県奈良の生駒でリサイクル出来た奇跡を、私も子どもたちに伝えていきたいと思います。

■今までSDGsについてこのようにきっちりした講演を聞く場面がなかったので、とても参考になりました。SDGsについて語っていてもそれは表面的なところで、実は本質的な部分が抜け落ちているというお話が印象に残りましたし、考えさせられました。これまでSDGsの本を選書する場合、SDGsの本ならいいだろう、と深く考えずに選書していた部分がありました。もう少し慎重に選ばなければならないと思わされました。

参加者の感想より

午後は大東市へ司書ツアー!

2022年は近畿大学附属小学校、2023年はこども本の森中之島を訪問しましたが、今年は司書の多くが熱望していた公立学校への視察を実現することができました!
生駒市と学校数や人口規模が似ていて、全校へ学校司書を配置しており、距離的に半日で行ける自治体ということで今回は大東市さんにお願いをし、受け入れてもらいました!!

住道南小学校&谷川中学校の学校図書館の視察

住道南小学校と谷川中学校に訪問し、学校司書から日ごろの取組の紹介の後、自由に図書室を見学する時間をつくっていただきました。

住道南小学校の学校司書から工夫していることなどを説明していただきました。
図書館を使った調べる学習コンクールの作品に興味深々
どのような本を取り入れて、どのように展示しているのか、メモを取りながら真剣に見学。
中学校にも小学校にもこのようなWELCOMEボードを用意してくれていました!
谷川中学校の司書さんより、日ごろの取組を紹介いただきました。
選書、展示方法など図書室をグルグル回り、司書同士で意見交換しつつ、見学。

学校司書連絡会に参加し、全校の学校司書たちと交流

大東市の学校司書が集まる連絡会に参加をさせていただき、お互いに悩みや工夫をグループで共有し合いました。初対面でしたが、同じ想いで仕事に取り組んでいる司書同士、時間が足りないくらい非常に盛り上がりました。

大東市の学校司書との交流会

【感想】

■大東市の小中学校の見学は司書一年目の私にとって眼から鱗の一日でした。特に小学校の図書室見学で司書2年目の先生がたくさんのアイデアで図書室を盛り上げておられること、すごいと心から思いました。大東の司書さんとの交流も勉強になりました。生駒よりも図書館システムや学校と図書館の連携などが大変進んでいる感じがしました。一番うれしかったのが図書だよりのお土産です、ありがとうございました!

■大東市では、学校司書が入り始めて7年、全校配置されて3年目と伺いました。見学させていただいた小学校も中学校も本の配置が工夫されとてもきれいで利用しやすくまた温かい雰囲気を感じました。連絡会で交流した司書さんのグループには、7年目(つまり最初に学校司書になられた)の方もおられ、初めの苦労話も聞かせていただきました。また、見学した学校の司書さんにも交流した司書さんにも、とても強い熱意を感じました。改めて、私も頑張ろうという気持ちになりました。「図書館を使った調べる学習コンクール」は、参加者数や、入賞者数といった具体的な数値で学校司書の頑張りを表すことのできる指標となっていると思います。

■大東市の住道南小学校と谷川中学校さんではお忙しい中見学させて頂きとても参考になりました。学校司書さん達のこまめに、図書室を整備して子どもたちに読書支援の工夫をされていてすごいなぁと思いました。
交流会でより詳しく学習支援に役立つ本について聞けて今後の活動に役立ちます。市をあげて「図書館を使った調べる学習コンクール」に取り組んでおられるので、調べ学習をまとめやすい資料の選び方のコツを少し教えて頂きました。
 学年が上がるにつれて必要になる「資料から必要な内容を抜き出し、自分でまとめる力」を低学年から身につけるのに司書の立場で支えておられて尊敬します。その成果である全国コンクール優秀賞にお一人入賞の報告を一緒に聞けて良かったです。うちでも皆さんの技と工夫を活用していこうと思います。ありがとうございました。

■大東市の見学もとても充実したものになりました。図書室の様子、配架の仕方、子どもたちへの働きかけの方法などいろいろ参考になりました。また交流会はとても楽しくいいお話ができました。初対面にもかかわらず、同じ仕事をしているもの同士として、同じような悩み、またそれをどう解消していくか、いろいろな意見を交換することもでき参考になりました。コロナ禍後タブレットの導入もあり、調べ学習で図書室の利用が減ってしまったことが残念だったのですが、大東市では「図書館を使った調べる学習コンクール」を行うことでそのきっかけを作っていらっしゃるということを知り、いい取組だなと感じています。何か同じようなきっかけ作りができれば、と思いました。

■小学校の図書室では、新聞の設置場所や活用法など、参考になるところがたくさんありました。早速自分でも実践しようと思っています。学校の規模で図書の予算が決められているところは生駒市と同じだったので、どちらの学校も選書を工夫されていると感じました。
また、見学させていただいた学校以外の司書の方とも交流でき、資料もたくさんいただいたので、こちらも活用させていただきます。

感想より一部抜粋

株式会社リングスターの皆さん、大東市教育委員会事務局教育研究所の皆さん、お忙しいところ、本当にありがとうございました!

<あとがき>
学校司書の皆様には、日ごろから「子どもたちに本の楽しさが伝わるように」「本に興味をもって手に取ってもらえるように」読み聞かせをしたり、ポップを作ったり、季節に合った掲示を作ったり、イベントを開催などをしていただいてます。
昨年度はこども本の森中之島の視察に同行させていただきました。自分自身もワクワクするような本の展示の仕方や工夫を目の当たりにしましたが、やはり公立の学校図書館でどのようなことができるのか。それを今回の研修と視察で学校司書の皆様と一緒に学ばせていただくことができました。
これからも学校司書の方々と共に生駒市の子どもたちの読書活動の推進を、図っていきたいと思います。(生駒市教育指導課 池下)

学校の中で多様な生き方や価値観、人生、感情に出会える場所が図書室です。100年前も2か月前に出た作品も、海外の作品も日本の作品も、美しいものも醜いものも、ハッピーエンドもバッドエンドも、事実も空想も、全てが同じ部屋に存在する「整頓されたカオス」が図書室です。
このカオスに浸ることで、子どもたちの好奇心が刺激され、問いが生まれ、「知りたい!」気持ちが学びに繋がります。
本という余白から生まれる想像力は人間が持っている素晴らしい能力をさらに高みに押し上げてくれます。
図書室という場所が、本という媒体が、新しい時代だからこそこれまで以上に子どもたちに必要になると私は思います。
その場所を学校の先生たちとつくり、アップデートしつつも、本質を見極めながら大切なものを守ってくださっているのが学校司書です。
尊敬と感謝でいっぱいです。
これからの時代の新しい図書室のあり方をこれからも前向きで勉強熱心で子ども想いの学校司書と共に考えて行きたいと思っています。(キャリア教育プランナー 尾崎)