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【バリアフリー】伝えようとする気持ち。理解しようとする気持ち。分かり合うことの喜び。

鹿ノ台小学校4年生のバリアフリー体験の一環として
■言葉の指示だけで同じ形を完成せよ!
-視覚情報を遮断したコミュニケーション体験-
■ジェスチャーだけで相手に目的を伝え、ミッションを完遂せよ!
-聴覚情報を遮断したコミュニケーション体験-

を実施しました。

1月19日 言葉の指示だけで同じ形を完成せよ!
-視覚情報を遮断したコミュニケーション体験-


指示役はオンラインで画面をオフにして、子どもたちに言葉だけで指示を出します。
「紙の端をはさみで2か所切って」
「それを半分に折って」
「半分に折った線に赤色のペンで線を引いて」
「端を切っていない2か所にウサギを書いて」
「赤い線を引いた左側に数字の書かれた固いものをキレイに置いて」
など矢継ぎ早に説明をしていきます。

児童たちは周囲を見ながら、不安そうな顔で指示通りに作業をしていきます。
時間になったら、指示で作って欲しかった正解の形を画面をオンにして発表します。

「全然違う!!!」「こんなの無理だわ!!」と悔しがる子どもたち。

その後、「どうすれば正解と同じように作れたのか?」を話し合ってもらいました。
「もう少し角度や方向をハッキリ言って欲しい」
「もっと丁寧に具体的に説明がほしい」
「ウサギって言われても顔なのか体まで書くのかわからない(人によって色んなイメージを持つ指示)」
「数字の書かれた固いものって三角定規や分度器のどっちかわからない(名前がわからない物を使った指示)」
「キレイに置くって人によって違う(主観をベースにした指示)」


曖昧な情報や主観やイメージで説明すると、どんどん間違ったものができてしまいます。
あえて、「主観に頼る情報」「人によって長さが異なる情報」「どちらか選べない情報」を入れて、混乱するように設計しました。子どもたちには「分からないよ・・・」「これでいいのかな・・・」とモヤモヤしていた気持ちを体験してもらいました。

言葉だけで説明を聞き、同じゴールに辿り着くことの難しさを知りました。
普段私たちが使っている説明文は、ある程度、経験や知識、文化が同じであることを前提としてコミュニケーションをとっています。しかし、すべての人にそのコミュニケーションが通用する訳ではありません。

目がみえない方や海外の人から道案内を頼まれた時、またオンラインなどで相手が「みえない」状態でコミュニケーションをとる場面で今日の授業を思い出して欲しいです。
(今後、ICTを活用するとチャットや声だけのコミュニケーションも増えてきますので、相手に誤解させない適切な指示を文字や言葉にできる力はとても重要になってきます。)
今日自分が体験した不安な気持ちを相手にさせないように、相手の立場にたった丁寧で具体的なコミュニケーションを意識してもらえたらと思います。

1月25日 ジェスチャーだけで相手に目的を伝え、ミッションを完遂せよ!
-聴覚情報を遮断したコミュニケーション体験-

今度は逆に視覚だけを活用します。
オンラインでお互いに音声をミュートにします。
ジェスチャーだけで各班はミッションをゲストに伝え、それをクリアさせながら、学校までの道のりを案内します。

駅から学校までの道のりを子どもたちにジェスチャーで動くゲスト

今回はGoogleglassを活用し、歩いているゲストの目線を子どもたちはオンライン上で確認をすることができます。また、ゲストはストップマーク(赤い紙)がGoogleglassに移ったら、安全な場所に止まって子どもたちの指示を待ちます。

教室から班ごとに指示を出す子どもたち

「車のナンバーを教えて!」というミッションを運転手の真似と白い紙で表現したり、「門を開けて!」という道案内をするために、2人で門をつくり、1人はその中をくぐるという動作で伝えたりしてくれました。
上手く伝わらず、何度も何度もあの手この手で伝えようとする子どもたち。

無事学校に到着。子どもたちに感想や改善点を共有してもらう。

無事学校に到着した後の感想を共有する授業では、
「役割分担をしたのがナイスプレーだった。ジェスチャーをする子、確認をする子、次の準備をする子。みんなが上手くできたから、伝わったと思う。」
「簡単な形のジェスチャーほど難しい。」
「相手が分かっているのか分かっていないのか分からず、難しかった。」
「言葉が使えないって本当に難しい。」
「伝わった時の達成感がすごくて、嬉しかった。」
などたくさん発表をしてくれました。

ジェスチャーで伝える力がつけば、どこの国でも自分の意思を伝えることができます。
コミュニケーションの基本は伝えようとする気持ち、理解しようとする気持ちです。
一生懸命に伝えようとする気持ちは言語や手話が例え間違っていたとしても、相手に届きます。

子どもたちが相手のことを考え、「伝えたい・分かり合いたい」という気持ちを持って行動していれば、障がいは少しずつ社会からなくなっていくと思います。
障がいはその人にあるものではなく、社会にあるものなので、この授業での体験をきっかけに子どもたちの力で社会を変えていって欲しいです。