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廃棄本の再生プロジェクトin光明中学校2年生「もう一度人が手に取り、読みたくなるようにしてください」

本の価値はどんなに時代を経ようが変わりません。
どの本も大切な財産です。
しかし、情報が古くなったり、汚れたりして、図書館での役目を終えた本については、一定基準で廃棄することになっています。

公益財団法人 全国学校図書館協議会
https://www.j-sla.or.jp/material/kijun/post-36.html

ホームページより

約4ヶ月に渡って図書室に並べ、希望者に持ち帰ってもらった後に残った刊行後10年以上経過した本たち。
廃棄される前に、この本を活用して何かできないだろうか?と考えました。
そこで生まれたのが

廃棄本の再生プロジェクトin光明中学校2年生

ランダムに配られた本を冬休みに読み込み、「誰に何をどのように伝えるか?」を考え、実際に表現してもらいます。YOASOBIのように音楽で表現するも良し、写真・動画・アート・文字など表現方法は自由にしました。

どんな作品になるのだろうか。
ドキドキしながら迎えた展示当日。
「思わず手に取って読んでしまう」作品に生徒たちが投票をしていきます。

多目的ルームに並んだ力作の数々!

どれもすごいエネルギーで、本当に驚きました!
本を読み込んでいること、中学生視点で本の価値をピックアップしていること、表現方法を工夫し、最後までやり切っていること。
素晴らしい作品ばかりでした。

作品紹介!

本を読んだ経験から、人によって「見え方の違い」があることを表現した作品
草の中に手を入れると、どんな本が出てくるかな?
本のカバーも創作し、折り紙で飾られた髪飾りが人目を惹く作品
あえて本を隠し、エジプトのミステリアスな雰囲気で人の興味を惹く作品
立体作品を創作し、一目でイギリスだとわかる展示になっている
思わずのぞいてみたくなる、カマクラの形をした作品
段ボールを転げ落ちながら、本に辿り着く作品
本の内容を想像させるために、アルミ缶を表紙に貼り付けた作品
玉手箱のように、紐を解いて本を取り出す作品
中学校の先生も作品を作って、参加!

【生徒のアンケートより】

①廃棄本を配られた時、どのように思いましたか?

・これをどのようにいかすか悩む。
・出来れば物語系が良かったが、これでも精一杯やってみようと思った。
・できない気がした。
・歴史上の人物で難しそうだと思った。
・正直自分が興味のない本を配られて、どう対処すればいいかわからなかった。
・初めて見る本に感銘を受けました。
・見たことがなさすぎて逆にどんな本か気になった。
・僕に全く興味のない本で、できるかなと思った。 逆にインパクトが強い本で書きやすいかもと思った。

②手に取ってもらうために、人の目を引き付ける工夫を教えて下さい。

読む側の気持ちを考える。
・「何これ」と思わせる、視界に入ったら気になってしまうようにする。
・まず目を引きつけるような色使いや、触りたくなるようなギミックを追加するのが重要だと考えた。
・題名をおっきく書いたり、その本の特徴を掴んだ作りにする。
・誰にオススメかを詳しく書いた。
・簡単なわかりやすいキャッチコピー。
・自分でなにかめくったり行動を促すようなもの。
・読み手への愛情
・あえて、本から得られる情報を断つ。

③今回の取組を通して、物を売る為に工夫しなければならないことに気付いたことがあれば書いてください。

時代にあわせてものを作る
・売る物のことをしっかり理解すること。
・モノの魅力を伝える伝達力や表現力が必要だと思います。
・ちゃんと手に取りそうな人に刺さりそうなデザインにすること。
・自分なら買うか、と考えながら工夫をすること。
・人に興味を0から持たすのはこんなにも難しいと改めてわかり、人の目に留まるには大きいものの方がいいと思った。
・ただただ分かりやすくしただけでは人気はあまり出ないことがわかりました!
・もしこれが売れるようなすごい商品でもうまく工夫して相手に魅力を伝えることができなかったら、売れないけれど、逆に売れないような商品でも工夫さえすればなかなか魅力のある商品に見えるようになるというところを見て、商品を売るときに魅力を伝えることということの重大さを知りました。
・いちばん大切なのは「誰にものを売るのか」だと思いました。それが欲しい人を探すのが大切だと思いました。

④今回のプロジェクトが終わって、今の感想を自由に書いてください。

投票の結果がどうであれ、作っているときが一番楽しかったので満足している。
・最初は大変そうだなという気持ちが強かったですが、本を読むと面白くて色々なアイデアが浮かび、制作するのが楽しかったです。
・ものを売る難しさがわかった
・社会に出たときに役に立ちそうな力が身についた気がした。あまり得意ではないけど終わってみると楽しかったと思う。
・いい本もあるのに、捨てられていくのがものすごくもったいないなと思ったし、 読まずじまいで面白くないと思って手にとっていないことがあったからいろいろな 本にふれて見たいと思いました。
・貰った本を読んでみるととても面白くて、やってよかったなと思いました。 また、今回の学習で本を紹介する力が身についたと思います。
・友だちの作品を見ていたら、自分が思いつかないような工夫をしていてすごいなと思いました。
・廃棄される予定の本でもこんなに魅力的に見えるようになるなんて正直思わなかったのでいろんな工夫をすればとても素敵になるんだなということが学べました。
・廃棄本になった本をたくさん読みたいと思った。
・最初は渡された本もえーこれかという感じだったのですが最後まで読むと愛着を持てました。

【光明中学校 学校司書からのメッセージ】

今回、自分の目の前に偶然に置かれたもの(本)を最大限に魅力的に見せるという難しいテーマを与えられたわけですが、学齢が上がるにつれ自由な発想がしぼんでいきがちな傾向がある中、そんな大人の懸念を吹き飛ばすようなユニークな作品にあふれていました。本に対する既成概念を覆すような奇想天外な作品もあり大いに楽しませてもらいました。
このような自分の発想したイメージを表現する場が集団生活の中にも多くあれば、自分とは違う個性を面白く感じられ自然な形での多様性を認め合える学びにもつながるのでは?と思いました。
今回1回限りの学びではなく、この経験を生かして個性を大切に成長していってほしいです。

【生駒市図書館 西野館長からのメッセージ】

ひとつひとつ、どの作品についても、それを作った人が一生懸命楽しそうに作っている姿が目に浮かぶようでした。
その本の内容を掴み、どうやって伝えたらよいだろうか、それぞれの切り口が面白く、とても深く考えてくださっているのも感じました。
作品から立ち上るような、そういうプラスの気持ちは、とても心地いいものです。一度手に取って読んでみたいと思わせる力がありました。
仕事柄、本の紹介文を書いたり、口で説明することはあっても、それ以外の方法は思いつきませんでしたが、今回の作品展を見させてもらって、「心をぐっと鷲掴みにするこんな方法があったんや!!」と新しい発見がありました。ありがとうございました。